2017年4月23日日曜日

キラーマシンとのセックス

キラーマシンからセックスを誘われた時のことを、とてもよく覚えている。 
その時、僕は雪原で経験値稼ぎをしていた。 

「疾風迅雷」の掛け声に合わせて、ムチで電撃を放った僕は、煙を上げて動かなくなったキラーマシンを見下ろした。 
初めて戦った時はとても苦戦をしたが、レベルを上げて適切なスキルを身につければ、こうやってキラーマシンでも圧倒することができる。 
MPが少なくなってきたので、そろそろ宿屋に戻ろうと踵を返したとき、背後から静かに雪を踏む音がした。 
雪を踏む、機械音。 
もう一体いたかと思い、僕はムチのグリップを強く握りなおした。 
「ちょっと待って」 
もう一体のキラーマシンは、僕の前に現れるなり、両手を挙げて言った。 
右手には、いつも手にしている剣がない。 
「待つ?」 
「そう、待って。降参。だめ、戦わない。ノーバトル。ねえ、言葉通じる?」 
「通じる」 
「よかった、いきなり攻撃されたらどうしようかと」 
「戦わない?」 
「戦わないわよ。さっきのあれ」 
と言って、僕の足元に倒れているキラーマシンにモノアイを向ける。 
「あんなの一方的な戦い見せられて、わたしが戦えると思う?」 
「正直に言うと余裕のある戦いだった」 
「散歩してたの。そしたら、すごい音がして」 
「疾風迅雷」 
「光も」 
「そういう技なんだ」 
「冒険者って、どうしてそういう強い技ばかり覚えるのかしら」 
「きみたちだって、マヒャド斬りとかビームとか」 
「それってあなたに通用する?」 
「少し痛い程度には」 
「ほらね」 
キラーマシンはそういって、僕を上から下まで眺めた。 
モノアイが上下する。 
「ムチを装備していて……独りで……その恰好……。きみってもしかして最近有名な」 
「うん?」 
「モンスターとセックスばかりしているっていう」 
僕は驚きのあまりその場で激しくむせた。 
「やっぱり」 
「ちょっと待って。ねえ、それをどこで?」 
「わりと有名。スライムとかばくだんいわと寝たって。あと、ドラキーとかくさった死体とかわらいぶくろとかとも」 
「誤解してる」 
「たとえば?」 
「そんなにはしてない。ドラキーもくさった死体も、わらいぶくろとも」 
「じゃあスライムとばくだんいわは?」 
「黙秘したい」 
「ふふ、やっぱり」 
参ったな、と思い僕は空を見上げた。 
性交のような極めてプライベートな事柄を、そんな風に誰かに指摘されるなんて思ってもみなかったからだ。 
スライムたちが言ったのだろうか、それとも、見られていた? 
僕はあの時、地形的に周りがどうだったかと少し記憶を探した。 
「ねえ、わたしとはどう?」 
考え事をしていた僕は、とっさにその意味がわからなかった。 
僕はとても間抜けな声で聴き返した。 
「……ごめん、聞いてなかった」 
「わたしとはどうって聞いたの」 
「どう、というのは、セックスの誘いであるならば」 
「あるならば」 
「どうといわれても、としか答えられないな」 
「それ以外の回答をする余地はない?」 
「そもそもきみは」 
といって、今度は僕がキラーマシンを改めて観察するように見た。 
モノアイで青いメタリックなボディ、左手は弓と一体化しており、バランスよく足は均等に4つある。 
「マシン系がセックスを?」 
「いけない?」 
「そういうものとは無縁かと」 
「それってすごく失礼なことなの、わかる?」 
「正直に言うとわからなかった。傷つけたのなら謝る」 
「大丈夫。分からないことってたくさんあるの」 
そういってキラーマシンはモノアイの柔らかく光らせた。 
「じゃあこうしましょう。いまからあなたと私はセックスをして」 
「ふむ」 
「互いの理解を深めるの。わたしたちってまだ知らないことがたくさんあるのでしょ?」
「確かに」 
「わたしとのセックス、どんな感じだと思う」 
「想像もつかないな」 
「それって素敵なことだと思わない? 想像もできないセックスって」 
聞いているうちに、僕はそれが本当に素敵なことだと思えるようになってきた。 
キラーマシンとセックスする機会なんて後にも先にもこれで最後だろうし、どんなセックスになるのか、本当に想像ができなかったからだ。 
そしてもう一度キラーマシンの全身を眺めた。 
キラーマシンの弓矢のショルダー部分がパイスラとなっていることに気が付き、僕はしずかに息をのんだ。 
「冒険者というのは」 
とキラーマシンは言った。 
「うん?」 
「未知なるものを探したりする人たちの総称って聞いたことがある」 
「続けて」 
「わたしの身体を、クエストしてみたりしない?」 
僕はためいきをつき、ステータス画面を開いた。 
特にいま急いでいるクエストも目的も、そしてパーティからの誘いもなかった。 
「OK。実は僕も少し退屈をしていたんだ」 
「改めて回答は?」 
「そのクエスト、謹んで」 
効果音とともに、画面に大きくクエスト受領のマークが表示された。 


雪原から少し離れた場所に、林に隠れる形でその洞窟はあった。 
少し肌寒かったので、僕は焚き木にメラで火をつけた。 
「すごい」 
「メラくらい簡単にできる」 
「あまりみたことがないの」 
「きみには、メラは効かないから」 
「でも剣での攻撃は良く効く」 
「見ての通り、僕の武器は柔らかいムチだけど」 
「でも、ここに立派な剣を持っているみたい」 
「きみに突き刺さればいいけど」 
「すごく硬くなってる」 
キラーマシンは丁寧に僕の装備を脱がし、勃起したペニスを露出させた。 
僕はキラーマシンを背後から抱くような態勢で、その身体を愛撫した。 
戦うときには気が付かなかったが、滑らかでとても心地が良かった。 
僕がボディに舌を這わせると、彼女はぶるっと身体を震わせた。 
キラーマシンは、後ろ向きに僕のペニスを握って優しく上下させた。 
「これはどう?」 
「とても気持ちがいい」 
「初めて触るのだけれど」 
「だとしたら才能がある」 
「ありがとう。ならこれはどう?」 
キラーマシンの手の動きが速くなる。 
あまりの刺激に僕は思わず腰を引いた。息が漏れる。 
「ねえ、これって」 
「2回行動」 
「まいったな」 
僕も負けじと、キラーマシンの足の付け根のあたりを手探りで愛撫を繰り返す。 
キラーマシンは濡れていなかった。 
それどころか、ヴァギナらしき裂け目もどこにも見つからなかった。 
僕は焦った。 
ここから、何をどうすればよいのかさっぱりわからなくなってしまった。 
「もういれたくなった?」 
「実は」 
「でもごめんなさい。あなたが思うようなセックスはできないかも」 
「というと?」 
そういってキラーマシンはお尻の部位からひものようなものを伸ばした。 
「これは?」 
「LANケーブルといって」 
「らん?」 
「マシン系は、これを使ってお互いのデータを通信し合うの」 
「性的な?」 
「そう、とてもいやらしいデータ。すごく大量の」 
僕はLANケーブルの先を優しく握った。 
先端はプラスチックでできた透明なプラグソケットでおおわれていた。 
「それを私に挿入れてほしいの」 
「でもそれって」 
「セックスではない?」 
「少なくとも、思っていたものとは」 
「あなたたちも、おもちゃは使うでしょ?」 
「確かに」 
「そういうセックスのかたちもあるの」 
キラーマシンは下半身の真下に四角い穴にそれを挿入してほしいと頼んだ。 
僕は挿入しやすいように、そのLANケーブルの先のプラグソケットを口に含み唾液をつけてその穴に挿入れた。 
カチッ、という音ともに、キラーマシンがびくんと震えた。 
「んんんっ!」 
僕はその声を聞いて、ペニスをさらに硬くさせた。 
「そう、いい。すごく感じる。ねえ、そのまま抜き挿してみて」 
カチッ。 
「んふぅうううっ!」 
カチッ。 
「ああっ……くぅうんっ」 
カチッ。 
「ンッっ、んんーーーっ!」 
一突きごとに、キラーマシンは声を押し殺すようにして震えた。 
そしてその間も、その手は休まずに僕のペニスを高速でしごき続けていた。 
「……すごく気持ちがいい」 
「わたしも……」 
「もうダメかもしれない……」 
「んんっ、いいの、そのまま射精して」 
「もう我慢できない……」 
「いいのよ、来て……」 
快楽の波に思考が塗りつぶされながら、激しく呼吸をして声を荒げる。 
「……もう、だめ……我慢できない……我慢できない!」 
僕は手にしたLANケーブルを強引に抜き取った。 
「んっ!ひぁっ!!」 
キラーマシンが驚く声を上げるのを無視して、僕は自分の尻部分からケーブルを引っ張り出して、キラーマシンの秘所にあてがった。 
「えっ!ええ!? なに、何!?」 
「大丈夫だから」 
「何なの!? 何を挿入れようとしてるの?」 
「これは淫LANケーブルといって」 
「淫LAN!?」 
「僕たち人間種族は、これを使ってお互いのデータを通信し合うのだけど」 
「嘘やだ怖い怖い!この人何言い出すの!やだ知らないなにこれ怖い!」 
「大丈夫、少しだけ、さきっぽだけだから」 
ビッ!と小さな音がして、 
「ぬうほぉぉおおおおおおおんおおんぬ!!!!!!」 
僕のケーブルはキラーマシンの秘所につながった。 
「ああっ、んっ、この感じっ……!ねえ、もしかして……!」 
僕のケーブルには、プラグソケットが付いていなかった。 
「いやぁ!プラグはつけて!ねえ、プラグはつけてぇ!!」 
「大丈夫っ!んほぉぉんん!!絶対っ!生のほうがっ!気持ちいいからっ!ほひびいいいいい!」 
「『新しいフォルダー』が出来ちゃう!『新しいフォルダー (2)』も出来ちゃうからっ!」 
僕はキラーマシンに覆いかぶさるように抱き付き、上り20Mbps 下り20Mbpsの速度でピストンを繰り返した。 
「ン゛ン゛ン゛ギモジイ゛イ゛イ゛イ゛ィ゛イ゛イ゛イ゛イ゛!!!」 
「やだやだ怖い卑猥なデータが高速で通信されてる怖い怖いやだ怖い!」 
「上り20Mbpsも出てるぅぅぅ!!すっごい膣内ぬるぬるしてるぅぅぅぅうう!!」 
「インモラルな単語で構成された大量のファイルがどんどん送られてくる怖い怖い!!」
「ん゛ほぅ゛う゛う゛う゛ギモジイイイ!!!!引っかかる感じしゅごいぃぃいいい!!!デフラグされてないカリデータが引っかかって気持ちおほぉぉおお!!!」 
「やだやだ何カリデータって怖い何が起こってるのやだ怖い!!!!」 
「もう射精る!もう射精ちゃうそう!」 
僕は最大上り250Mbps 下り200Mbpsまでピストンを加速させた。 
「いやぁああ!速すぎる!!抜いてっ!膣内はだめぇ!」 
「あと3秒……!2秒……!いっ……射精る!!!」 
そうして僕はキラーマシンの膣内に、『子種.exe』を大量にエクスポートした。 


寒気を覚えて目が覚めた。 
僕は洞窟で独りで眠っていた。 
メラのたき火は少し前に消えていたようで、それは少し前に行われた激しい情事の火も一緒に消えてしまったように感じた。 
僕は服を着て装備を整えて、もう一度周りを見渡した。 

キラーマシンはいなくなっていた。 
いくら劣情に押し負けたとはいえ、あれだけのことをしたのだ。 
もう二度と会ってはくれないだろう。 
申し訳ない気持ちと、仕方のない気持ちが混じり、僕はため息とともに歩き出した。 

そこにぐらっとした違和感。 
歩くごとに、視界にノイズが入るような、不快な苦痛を伴う違和感。 
僕はもしやと思い、ステータス画面を確認した。 

じょうたい:どく 

自業自得だなと思い、僕は道具袋からどくけしそうを取り出した。 

1 件のコメント:

  1. 更新してくれよ!!!!!!!!!!!なあ!!!!!!!!!!頼むから!!!!!!!!!!!!

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